TCGの楽しさを皆に伝えるお店!カードショップポンポコのポンポコ宮本氏にインタビュー 「なぜ独立してショップを開いた?」

公開日:2024年3月12日 更新日:2024年3月11日
広告

「カードショップポンポコ」はなぜ秋葉原のいちばん外側に移転したのか?

――「カードショップポンポコ」をオープンしたのはなぜでしょうか?

ポンポコ宮本(以下:ポンポコ):僕は小学生のころに『遊戯王』でTCGに触れたのですが、それからずっとカードゲームで遊んできました。そこから、受験期間などを除いてほぼ25年間TCGに関わってきたんです。

そのなかで、「自分が感じているTCGのワクワク感や楽しさ」というものを皆さんに知ってもらいたいと思ってきました。それを実現するには自分のショップを持つのがいちばんだと考えてオープンしました。

――以前は「晴れる屋」というカードショップに所属して、そこが配信しているYouTubeに出演していましたが、そのころの視聴者の反応はどのような感じだったのでしょうか?

ポンポコ:見ていただいた方にはとても喜んでいただけましたよ。元々自分は『マジック:ザ・ギャザリング』というTCGでプロツアーに挑戦したり、賞金の出るトーナメントに出場したりする「競技勢」だったんです。

その後、「晴れる屋」という『マジック:ザ・ギャザリング』専門カードショップの元オーナーであるトモハッピーさんに、「晴れる屋で働いてみないか?」と誘われて入社することになりました。

「君はキャラクターがおもしろいね!」と楽しそうに遊んでいる姿を評価していただきYouTubeに出演することになったのですが、つい動画撮影というのを忘れて楽しんで遊んでいました(笑)。

逆に、その姿を皆さんに楽しんでいただけたのかなと思っています。

「カードン 秋葉原本店」のトモハッピー氏に聞いた - なぜ「カードン」を開店したのか?

――2023年7月にショップを移転しましたが、それはなぜでしょうか?

ポンポコ:以前の店舗はミニマムスタートでオープンした店舗で、ビルの地下にあるテナントだったんです。地下にあるお店は、通りかかった人からすると看板しか見えずになかの様子が分からないんですよ。看板を見ないとどんなTCGを取り扱っているかも分からないし、お店の雰囲気も伝わらないので入りづらいんです。

お客様に来ていただかないと、自分の考えている「TCGのワクワク感や楽しさを伝える」ことができないと考えていて、ずっと移転先を探していました。

お店の前を通りがかったときになかを覗いてみたら、カードのショーケースが並んでいて、ぬいぐるみが飾られていて、ガチャガチャなどのアミューズメント機器が置いてあったら、「なんかおもしろそうだから入ってみよう」ってなるじゃないですか。

さらに、お店を持つ上で絶対に作りたかったのが「デュエルスペース」です。以前のお店にもあったのですが、もっとたくさんの人に来てもらいたいし、大会に参加できる人数も増やしたいと考えていたんです! それで「広い敷地の物件」というのも移転の条件でした。

――移転して半年が経ちましたが、現在の状況はいかがでしょうか?

ポンポコ:TCGのプレイヤーはもちろんなのですが、外国人のお客様がとても多い印象です。この場所はいわゆる秋葉原のいちばん外側のゾーンになりますが、須田町のホテルに宿泊した人が、秋葉原を観光するときに必ずここを通るんです。

そのときに、お店のなかを見たら「ポケモンカードゲームがある!」とか「ONE PIECEカードゲームのカードを見てみよう!」といった感じで、皆さん入って来てくださるんですよね。

僕が考えた以上に「なかが見える効果」というのがあって、お陰様で好調な売れ行きをキープできています。

――秋葉原駅電気街口の駅前を、中央通りとJR 総武線を使って十字に切ってみたときに、このエリアはカードショップが少ないですよね。「晴れる屋ツー」と「カードラッシュ」というお店があるだけです。

ポンポコ:実はこのゾーンってカードショップは少ないのですが、秋葉原のカードショップを散策するときに早めに立ち寄る場所なんですよね。ですから、思ってた以上にお客様の目に留まるようなんです。

さらに、この「カードショップポンポコ」の隣には「麺屋武蔵 厳虎」があって、そこで食事をしたTCGプレイヤーさんがついでに立ち寄ることも多いみたいですよ。

――カードゲームで遊んでいる人は、特定の店舗に行く「常連さん」が多いと思います。そうしたなかで新規で立ち上げる不安はありませんでしたか?

ポンポコ:もちろん不安だらけでした。カードショップの重要なポイントは、取り扱っているTCGの種類が多いとか、品切れが少ないといったこともあるのですが、多くのTCGプレイヤーは行きつけのお店があります。

ただし、現在お店がある地区の他店舗には、デュエルスペースがあってもとても狭かったり、特定のTCGでしか遊べない場所だったりするので、遊べる場所が少ないなと感じていました。

また、土・日や祝日になると、TCGプレイヤーたちが空いているデュエルスペースを求めて、いろいろなお店を歩き回るのをよく見ていました。

そこで、このエリアでお店を出して「50席以上あるデュエルスペースを確保できれば勝てるチャンスがあるぞ!」と感じました。

――デュエルスペースは直接お店の利益につながらないですよね。それなのに「カードショップポンポコ」のデュエルスペースは無料で使えますが……。

ポンポコ:自分がお店を立ち上げるとき、いちばんに考えていたのが「TCGプレイヤーの皆さんに楽しい場所を提供したい」だったんです。

というのも、僕が20代前半のころは朝9時にカードショップに行って、開店から閉店までずっとカードゲームで遊んでいました。そのころがもっとも楽しかったですし、その経験が人生の宝物として輝いているんです。

そのような経緯から、僕のなかでは多くのプレイヤーさんに遊んでもらえる広いデュエルスペースは絶対なんですよ。それに加え、利用料が無料で遊んでいるときにすぐにカードを買い足せるというのが理想なんです。

また、デュエルスペースが広いといろんな大会の運営さんがこのデュエルスペースで「大会を開催できないか」とお声がけしてくださるんです。大会であればひとりで来店してもTCGで遊べますし、そうした大会やTCGメーカー公認の大会で上位入賞すると、自分のデッキや名前が掲載されるので張り合いがありますよね!

ポンポコ宮本 カードショップポンポコ ポケカ ワンピ

秋葉原のなかでもなかり広いデュエルスペースは、ポンポコ宮本氏がもっともこだわった部分。広くて清潔感があり、一日中TCGを楽しむのに最適だろう(筆者撮影)

――ほかにショップを経営するうえで重視しているポイントはありますか?

ポンポコ:カードショップポンポコには、クレーンゲームやカプセルトイマシーンが置いてあります。こういうアミューズメント機器は、地方のTCGショップでは見かけることもありますが都内にはほとんどありません。

これは、海外からの観光客がカードを買うついでによく遊んでいくんですよ。音が出て派手にピカピカして、それで景品がもらえるかもしれない。子どもが軽く遊ぶのには最適なんです。

カードゲームを売っているだけじゃなくて、来店したらほかにも遊ぶことがあって、いるだけで楽しいショップが秋葉原にあるんだよ、ということを広めていきたいですね。

ほかにも大きなモニターを設置していて、そこでYouTubeを流しています。これをやっているショップさんはまず見ないですね。そうした「アミューズメント」も楽しめる店舗づくりを重視しているんです。

――最近のTCGは遊ぶだけでなく、コレクションとして価値を見出す人が増えてきました。

ポンポコ:そうなんですよ。『ポケモンカードゲーム』や『ONE PIECEカードゲーム』の人気が高いのですが、どちらも安いカードから高いカードまで、自分が知っているキャラクターが多彩に描かれています。

そうしたイラストを『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生や『ポケモン』のさいとうなおき先生が手掛けています。もちろん、海外の『ONE PIECE』好きや『ポケモン』ファンもコレクションしていますよ。

――そうしたイラストがTCGに触れるひとつの窓口になっているんですね。

ポンポコ:そうです! そうしたTCGに触れるきっかけやTCGの楽しみ方はいくらでもあります。さまざまなコンテンツを取り扱ったカードゲームがどんどん発表されて、カードゲームという文化自体が世界的に盛り上がっていったらうれしいですね。「日本はカードゲーム大国なんだ、素晴らしい!」と声を大にして言いたいんです(笑)。

今はまだ、TCGを楽しんでいる人たちは“オタク”という色眼鏡で見られてしまいますが、今後「e-Sports」として発展することで、その偏見が取り払われたらいいと思います。

だからこそ、僕らの世代から変えていって、今から10年後20年後の子どもたちが「カードゲームやろう!」みたいな感じになって、そこらじゅうで子どもたちがカードゲームを遊んでいる世界になってほしいです。それこそ『遊戯王』や『カードファイト!! ヴァンガード』の世界観ですけど(笑)。

――町には「囲碁・将棋クラブ」みたいなものがありますが、そのカードゲーム版みたいな場所が増えてくれるといいですね。

ポンポコ:本当にそうなんです。そうなって欲しいんですよ! 僕たちが80歳くらいになったときに、そういう場所に行って「ちょっとやりますか」ってできたらいいでしょうね。

――『ポケモン』や『ONE PIECE』といったオタク以外の人でも親しんでいるコンテンツのカードゲームが増えたことで、だいぶ垣根が取り払われているように感じます。

ポンポコ:『ポケモンカードゲーム』や『ONE PIECEカードゲーム』は本当にその垣根をなくしてくれていると感じています。『ONE PIECEカードゲーム』の大きな大会に行くと、参加している人たちが全然違うんです。本当に一般の人や子どもたち、そしてその付添のおじいちゃんやおばあちゃんがとても多いんですよ。「え、これカードゲームの大会だよね?」って驚いてしまいます(笑)。

――最後にこれを読んでいる読者に一言をお願いします。

ポンポコ:カードゲーム文化の定着に向けてこれからもがんばります。最新のカードゲームを扱いながら歴史も大事にしつつ、新しいものはどんどん取り入れてカードゲーム業界を盛り上げていきたいなと考えています。これからもよろしくお願いします。

店舗名
カードショップポンポコ
住所
東京都千代田区外神田1-2-14 紀伊國屋ビル 1F
電話番号
0335185335
営業時間
月~木/13:00~21:00 金/15:00~21:00 土日祝/11:00~21:00
最寄り駅
秋葉原駅 徒歩3分
@CardshopPonpoko