最新版から絶版まで…なんでも揃う秋葉原有名TCGショップ「カードン秋葉原本店」のトモハッピー氏に聞いた－なぜ「カードン」を開店したのか？

公開日：2023年12月1日　更新日：2023年11月30日

トレーディングカードゲーム（以下:TCG）のメッカ・秋葉原にある「カードン秋葉原本店」は、世界的に人気の高いTCG『マジック：ザ・ギャザリング』で活躍したトモハッピー氏が経営するTCGショップ。カードンは、現行のTCGカードはもちろんのこと、もう絶版となってしまったTCGもすべて取り扱っているお店として大きな話題となっているのだ。そこ今回は、なぜこのようなショップになったのか？　トモハッピー氏にじっくり話を伺ったぞ。

「カードン秋葉原本店」を立ち上げたトモハッピー氏ってどんな人？

現在、秋葉原は数多くのTCGショップが営業しており、2023年11月現在その数は120店舗を超えているというが、正確な数字は把握しきれないという（モトハッピー氏談）。

そのようなTCGショップ激戦区の秋葉原に、2023年3月15日にオープンしたのが「カードン秋葉原本店（以下：カードン）」だ。

トモハッピープロフィール

1999年、当時高校生だったころに『マジック：ザ・ギャザリング』を始め、わずか数カ月で当時日本において優勝候補と目されていたプレイヤーに勝利して日本一に輝くというデビューを飾る。その後も世界を舞台とした数々のグランプリで優勝を飾るなど日本のトッププレイヤーとして高い知名度を誇っている。
2019年から開始したYouTubeチャンネルでは12万8,000人のチャンネル登録者数があり、毎日動画を投稿してTCGの普及に貢献。両手で頬を叩くポーズがトレードマークとして人気になっている。
■YouTubeチャンネルは→こちら

（筆者撮影）

カードンは、世界初のTCGとして高い人気を誇る『マジック；ザ・ギャザリング』において、世界を股にかけたグランプリで何度も優勝するなどの実績を持つトモハッピー氏が立ち上げたTCG専門ショップ。

店内では、『遊戯王 OCG』『ポケモンカードゲーム』『ONE PIECEカードゲーム』『マジック：ザ・ギャザリング』といった人気TCGはもちろんのこと、今ではサービスが終了してしまった絶版TCGもすべて取り扱っている。

そもそもTCGは、サービスが終了してしまうと取扱店舗が減少してカードの流通量が減ってしまう。そうなると、そのTCGプレイヤーも徐々に減っていくので、“好きだったのに遊べない”事態が起きてしまうのだ。

だが、このカードンに行けばすべてのTCGを取り扱っているため、入手困難なカードも販売されている可能性がある。もしかすると、同じTCGで遊びたいと思っている仲間も見つけられる可能性もあるだろう。

トモハッピー氏は、そうした絶版となってしまったTCGを掘り起こして一緒に遊べる仲間を探せる場の提供の意味も込めて、カードンを立ち上げたのだ。

そこで今回は、トモハッピー氏がどのような考えでカードンを立ち上げたのか、TCGにかける熱い思いを思う存分語ってもらった。

「カードン秋葉原本店」はなぜ絶版TCGを取り扱うのか？

――「カードン秋葉原本店」を開くにあたり、絶版TCGを含めて全タイトルを取り扱うというコンセプトを掲げられましたが、これはどういった経緯だったのでしょうか？

トモハッピー：大きく2つの理由があります。ひとつめは、ほかのショップと似たりよったりのお店を出しても意味がないと思い、独自の「持ち味・個性・カードンだけの武器」が欲しかったんです。

それが何かと考えたときに、僕たちが価値を見出したのが「以前TCGをプレイしていた人たちがそのときに持っていたTCGに対する熱と、そのときに遊んでいたカード」でした。

もうひとつはその話にもつながるのですが、絶版タイトルで大会を開催したり遊んでいるコミュニティがあり、そうした人たちが今以上に楽しめたり、メンバーを集めたりする場所を作ることでTCG業界全体の力になるのではないかと考えたからです。

――絶版タイトルは市場ではなかなか流通しづらいですし、店舗で扱いがなければなかなか入手できませんね

トモハッピー：そうですね。遊んでいるときに集めたカードが今でも家で眠っていたり、捨てるに捨てられずに置きっぱなしになっている人は多いと思います。そうしたカードをカードンに売りにきてもらい、今でも遊んでいる人が入手できればコミュニティも盛り上がりますし、当店としてももちろんうれしいです。

――出店するにあたり、秋葉原という場所は最初から考えていましたか？

トモハッピー：秋葉原にはTCGショップが120～130店舗あると言われています。個性的なチャレンジや尖ったコンセプトのショップを出すのなら、いちばんのマーケットでやらないとカードンの個性が生きてこないと考えていました。

――開店してから半年ほど経過しましたが、現状の手応えはどうでしょうか？

トモハッピー：絶版タイトルをすべて扱うという部分に手応えは確かにあります。正直に言うと、絶版タイトルの売上構成比というのは低いです。現行タイトルよりも商品の単価は弱いですから。

しかし、ほかの店舗では扱っていない絶版タイトルの販売や買取をしているということが、カードンへ来店していただく動機に繋がっていると考えています。

もう遊ぶ機会のなくなったTCGのカードを売って現行タイトルのカードを購入したり、絶版タイトルを遊ぶ場として来店していただくということもあります。

そうしたことからも絶版タイトルを扱うという個性は商売にすごく生きているのですが、その価値が大きくなっていくのはまだまだこれからだなと感じています。現在はその集客をフックに現行タイトルで売上を立てている感じです。

――カードンで絶版タイトルで探しているカードを見つけたという声もSNSなどでよく見かけます

トモハッピー：そういう声を見かけるとうれしくなりますね。それに、絶版タイトルというのは、ほかの店舗さんでは取り扱いません。

そうした皆が取り扱わないようなものを取り扱うことで、「ありがたい」と思っていただける方からの利幅はいただきやすいので、売上としてみると大したことなくても利益率でいうといいバランスなのかなと思っています。

たとえば『ポケモンカードゲーム』のような現行の人気タイトルですと、売上から見ればとても大きいのですが、多くの店舗で扱っているために競争が熾烈で利益率は低いんです。それに比べて売上は少ないけど利益率が高い絶版タイトルがもっと循環してくれれば、お客様によろこんでいただけるうえに商売的にも熱いのかなと考えています。

――カードンを訪れる人も期待していると思います。自分も実際に絶版タイトルのカードをカードンで購入できてうれしかったことがあります

トモハッピー：当店でも人気の高い絶版タイトルに『バディファイト』があるのですが、そのユーザーの方から「サービスが終わって友人も辞めてしまったので遊ぶ環境がなくなってしまい寂しかった。でも、カードンで取り扱いがあり大会も開催してくれた。本当に感謝しています」と涙ながらに語ってくださる方もいて、カードンを出店して本当によかったなと思いました。まさに思い描いていた形です。

――最後になりますが、ご自身のなかにあるカードンのもっとも熱い部分を教えてください

トモハッピー：『マジック：ザ・ギャザリング』を中心として、TCGづくしの25年間を歩んできました。現行タイトルも絶版タイトルも、TCGというものは遊んでみるとどれもこれも面白くて魅力的です。

そうしたTCGの多くに出会えたり、再会できる場所としてカードンをもっともっと大きくしていきたいと考えています。ぜひご注目ください。

TCGにはスターターデッキというものがあって、500円や1,000円くらいで購入できるのですが、それで遊ぶだけでも楽しい体験ができます。ぜひカードンで触れてみてもらいたいですね！

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