タイムリープ&SFサスペンスの聖地の島を巡る!【聖地巡礼】第11回『サマータイムレンダ』の舞台 ー 和歌山県「加太」&「友ヶ島」

公開日:2023年10月13日 更新日:2024年5月16日

友ヶ島汽船で約20分ほど揺られると友ヶ島の野奈浦桟橋にたどり着く。

実は、友ヶ島は島をあげてサマータイムレンダを応援しており、野奈浦桟橋から降りるとすぐに潮の立て看板やポスターが配置されているため、聖地巡礼のワクワク感が高まってくる。

その前に、まず友ヶ島の基礎知識を紹介しよう。友ヶ島は大阪湾と紀伊水道を分ける島々の総称で、瀬戸内海国立公園の一部。地ノ島、神島、沖ノ島、虎島の4つの島で構成されており、メインとなる一番大きな島が沖ノ島なのだが、現在ではこの沖ノ島のことを友ヶ島と呼ぶことが多い。

友ヶ島には大阪湾へ敵戦艦の侵入を防ぐ目的で1~5までの砲台が明治時代に建てられ、第二次大戦までは一般人の上陸はできなかった。また、この地域周辺に建設された砲台郡をまとめて、「由良要塞(ゆらようさい)」と命名されている。

しかし、戦争はしだいに航空戦力が主力となり、この砲台群は全く使われること無く終戦を迎えたのだ。友ヶ島には比較的保存状態のいい砲台跡地が現存し、観光やハイキングなどはもちろん、映画やコスプレ撮影などでも利用されている歴史のある島なのだ。

ちなみに、有名なクソゲー『デスクリゾン』のOPの実写ムービーはこの友ヶ島で撮影されているぞ。

●和歌山市観光協会「友ヶ島」は→こちら

聖地巡礼 サマータイムレンダ 友ヶ島聖地巡礼 サマータイムレンダ 友ヶ島

島に上陸するとすぐに潮の立て看板がお出迎え。さらに脱出ゲームとコラボした際のポスターも飾られている(筆者撮影)

■友ヶ島観光案内センター

友ヶ島の野奈浦桟橋からすぐに見つかるのが、作中で駐在所のモデルとして登場する友ヶ島観光案内センターだ。特徴的な柱や2階の屋根、受付の窓が目印としてわかりやすい。

聖地巡礼 サマータイムレンダ 観光センター

作中で駐在所として登場する友ヶ島観光センター。桟橋から見えるので迷うことはないだろう(筆者撮影)

■第一砲台跡

第一砲台跡へは野奈浦桟橋から山道を通って、約35分程度でたどり着くことができる。「第一砲台跡」では封鎖されている施設の外観が作中に登場しているが、当然、モデルの第一砲台跡も封鎖中でなかに立ち入ることはできない。

聖地巡礼 サマータイムレンダ 第一砲台跡

この封鎖されている柵は作中の印象的なシーンで使われている。通りかかってすぐにここだと分かったほどだ(筆者撮影)

■第二砲台跡

第1話で登場する、島にある崩れた建物はこの第二砲台跡がモデル。島の端っこに建設されたため風雨による崩壊が激しく、現在、なかに立ち入ることができない。

第二砲台跡へは、野奈浦桟橋から海岸線を通れば徒歩12分ほどで到着するのだが、23年9月21日から23年11月25日までは海岸線の工事を行っているため通行止めとなっていた。そのため工事期間中は野奈浦桟橋から山道を30分ほど歩く必要がある。

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大きく崩れてしまった建物もあるためなかに入ることはできない。今でも台風が通るたびに徐々に崩壊しているそうだ(筆者撮影)

■第三砲台跡

作中で慎平とひずるが合流する場所が第三砲台跡だ。ここは施設の保存状態がよく多くの観光客で賑わっている。

地中の石造りの廊下にはライトが設置されていたり、階段に手摺などもあるため非常に歩きやすい。野奈浦桟橋からも近く、20分ほど山をハイキングすればたどり着けるだろう。

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第三砲台跡は整備されているため訪れる人も多く、非常に歩きやすい場所となっている。ライトアップもされているため、懐中電灯なしでも歩くことができた(筆者撮影)

■第四砲台跡周辺

作中でマタギの根津と一緒に慎平が歩き回るのが「第四砲台跡周辺」だ。湾曲した山道や風化したコンクリートの道など、作中でもこの雰囲気を感じ取れる。

ちなみに第四砲台跡は2022年の秋から内部に入れるようになったのだが、人がまったくおらずライトも設置されていないため、内部を探索するなら懐中電灯は必須となる。なかの倉庫は真っ暗で何も見えないので、暗いところが怖い人や虫が嫌いな人にはオススメできない。

筆者個人としてはとても面白く10分程度の時間でじっくりと回ってみた。もちろん探索中に人に会うことはなかった。

第四砲台跡へは野奈浦桟橋から20分ほど歩くとたどり着けるが、意外と起伏があるのでトレッキングシューズぐらいは用意しておきたいだろう。

聖地巡礼 サマータイムレンダ 第四砲台跡聖地巡礼 サマータイムレンダ 第四砲台跡

こちらが第四砲台跡周辺の山道。コンクリートで舗装された跡やカーブしている道などが作中に登場する(筆者撮影)

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第四砲台跡の内部は当然明かりもなく真っ暗なので、ライト片手に撮影を行っている。虫と暗闇がだめな人は絶対に行かないほうがいい。施設は崩壊せずにしっかりと残っていることに驚かされる(筆者撮影)

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施設入り口には懐中電灯が用意されているが、電池の残量などを考えると自分で用意して行ったほうがいい。間違ってもスマホの明かりだけで行こうと思わないこと!(筆者撮影)

■タカノス山展望台

作中で何度も登場するタカノス山。実は映像としては登場しないが、病院のある場所として名前だけはよく出てくるのだ。ちなみに、ここに病院などはない。

実際の展望台は標高119.70メートルの山頂で、淡路島や大阪湾方面を一望できる。第三砲台跡から3分ほど階段を上った先にあるので、ぜひ訪れてみよう。

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景色は非常に良かったのだが、午後から雨の予報だったのでかなり厚い雲に覆われていた(筆者撮影)

■友ヶ島灯台

作中で登場する灯台のモデルが「友ヶ島灯台」だ。明治5年に完成した歴史のある灯台で、現在は登録有形文化財と近代化産業遺産に認定されている。

高さは12メートルと灯台としては小さいが、標高が高い場所にあるため十分遠くまで照らせるとのこと。灯台のなかに入ることはできないが、近くに行くとその大きさに驚かされるだろう。

なお、友ヶ島灯台へは野奈浦桟橋から30分ほど山道を歩くとたどり着くことができるぞ。

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こぶりな灯台だが明治5年に山の中に建設されたことを考えると、当時はかなりの労力をかけて建設されたことを伺わせる(筆者撮影)

■番外編 友ヶ島の観光地

ここからは聖地ではないのだが、友ヶ島の観光地も紹介していこう。

まずは「日本標準時子午線 最南端の地 標柱」だ。日本標準時子午線は東経135度の経線なのだが、この経線が友ヶ島と交わっており、ここが日本標準時子午線の最南端となっているのだ。ちなみに、下写真の記念碑は2008年に建てられたものだ。

友ヶ島灯台からすぐの広場に設置されているので、興味がある人はぜひ訪ねてみよう。

聖地巡礼 サマータイムレンダ 日本標準時子午線

広場にぽつんと設置され、さらに周囲がヤブに囲まれているため見つけるのに少し苦労した。2008年に設置された比較的新しいモニュメントだ(筆者撮影)

 

次は、松と海岸線が美しい景勝地「孝助松海岸」だ。岩がゴロゴロとしている海外と1本だけ高い孝助松が目印となる。友ヶ島灯台へ向かう途中にあるので、ついでに寄ってみるといいだろう。聖地巡礼 サマータイムレンダ 孝助松海岸聖地巡礼 サマータイムレンダ 孝助松海岸

岩山にへばりつくように生えている松や、一本だけ大きく育った孝助松が目印。流木が山積しているため海岸に降りるのは注意したほうがいい(筆者撮影)

 

聖地巡礼第11回目『サマータイムレンダ』の聖地はいかがだっただろうか?

『サマータイムレンダ』は王道のSFタイムリープと徐々に判明していく島の伝説“影”というサスペンス要素が絶妙に混ざったストーリー。TVアニメも25話で、濃厚な謎解きが体験できる作品となっている。現在はNetflixやAmazon Prime Video、Huluなどで配信されているので、ぜひ見てほしい。

友ヶ島は、自然の豊かさと大戦中の砲台跡という歴史的な観光地でもあるので、聖地巡礼以外の目的でもぜひ訪れて見てほしい地域。筆者は天気のいい真夏に再び訪れたいと思っている。

ちなみに、『サマータイムレンダ』の前は『天空の城ラピュタ』と砲台跡の雰囲気が似ていると言われていたことから、『天空の城ラピュタ』の聖地と言われていたそうだ。というわけで、友ヶ島周辺はラピュタファンにもオススメしたい場所である。

© 田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

(文=西澤浩一)
イメージ写真は筆者撮影
筆者プロフィール
西澤浩一
編集・ライター。アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。コミックマーケットには一般・サークルでの参加経験あり。趣味はゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も。一人旅も好きで移動方法は主に鉄道(乗り鉄)である。