“ひとりのこらず主人公。”を体現したネットの文化祭12万人が熱狂した「ニコニコ超会議2024」ーコミケPlus視点でレポート!

公開日:2024年5月2日 更新日:2024年5月2日

今年で13回目を迎える「ニコニコ超会議2024」が24年4月22日~28日まで開催された。その盛り上がりを象徴するリアル会場「幕張メッセ」には、2024年4月27日と28日の2日間で延べ12万人以上が訪れたという。そこで今回は、GWの幕開けを飾るに相応しいビッグイベントをコミケPlus的な視点でレポートしよう。

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歌ってみたや踊ってみた、マニアフェスタなど、ゴチャまぜ&手作り感がニコニコ超会議の醍醐味!

2006年12月から始まった人気動画配信サービス「ニコニコ動画(現:ニコニコ)」。過去には「初音ミク」をはじめとするボーカロイド楽曲や歌ってみたの配信などで多くのユーザーに支持されてきた。投稿される映像もゲーム実況やTAS動画、工作系の作ってみた、ゆっくり実況など、まさに何でもアリ!

このゴチャまぜ感がまさにニコニコの醍醐味であり、それをリアルに再現したのがニコニコのお祭「ニコニコ超会議」である。

ニコニコ超会議は2012年4月に1回目が開催されて以来、毎年開催されているリアルイベントだが、新型コロナの影響を受けて2021年はオンラインでの開催となったものの、2022年からはオンラインとリアルの両方で開催されている。

そのようななか、24年4月22日~28日に「ニコニコ超会議2024」が開催された。先行して4月22日からネット会場が開幕し、4月27日からは幕張メッセにてリアル会場が開幕。4月28日までネットとリアルの両方で開催されたのだ。

ニコニコ超会議2024のコンセプトは「ひとりのこらず主人公。」。さまざまな表現を発信しているクリエイターや視聴者が、それぞれの「好き」を思いっきり表現できるネット発の文化祭がニコニコ超会議といえるだろう。

新型コロナ以降リアル会場の来場者は増加傾向にあり、今回は昨年開催された「ニコニコ超会議2023」よりも約1万人も増加して12万5,362人が参加。根強い人気を実感させてくれた。

●ニコニコ超会議2024公式サイトは→こちら

ニコニコ超会議

ニコニコ超会議2024概要
【日時】2024年4月22日(月)から28 日(日)
ネット開催:2024年4月22日(月)から28 日(日)
リアル開催:2024年4月27日(土)10時~18 時/4月28日(日)10時~17 時
【主催】ニコニコ超会議実行委員会
【会場】リアル開催:幕張メッセ 国際展示場 1〜11ホール・イベントホール/ネット開催:ニコニコ公式サイト・総合TOP
【リアル会場チケット】優先入場券(数量限定)2日通し券:9,000円/1日券:5,000円
一般入場券(前売り)2日通し券:6,500円/1日券:3,500円
当日券:3,900円

それでは、大変盛り上がったニコニコ超会議2024のリアル会場「幕張メッセ」の様子をお伝えしよう。ブースの数はかなり多くさすがに全ブースの模様をお伝えすることはできないので、今回はコミケPlus編集部らしく、コミケットとの関連がある自主制作系のブースを中心にレポートしていきたいと思う。

■マニアフェスタ Vol.8

「マニアフェスタ」とは、さまざまなジャンルのマニアや研究者、専門店が出展する展示即売会。多くの人が見逃しているどこにでもあるものや、街中に溢れる“いらすとや”を収集するマニア、今はほぼ絶滅してしまったアルミ弁当箱のマニアなど、50サークルほどが出展していた。

コミケPlus編集部としては、これは真っ先に取材しなければ行けないブースだというわけで、そのなかから4つの出店者を紹介する。

●マニアフェスタVol.8公式サイトは→こちら

【夜景おじさんマニア】オケタニ教授氏

●オケタニ教授氏のXは→こちら

「夜景とおじさんってなんかいいよね」という発想から始まった、夜景とおじさんのコラボレーションが楽しめる写真集を制作しているオケタニ教授氏。写真集制作についてお話を伺った。

ニコニコ超会議

新刊を手にしているオケタニ教授(筆者撮影)

–この写真集を作ったきっかけは?
夜景とおじさんってなんかいいじゃないですか。なんか哀愁が漂うというか、働いたストレスを発散しているのかなぁとか考えることが多くて、気がついたら写真集にまとめていました。

–掲載されているおじさんたちにはどのようにオファーしているのですか?
街なかで声をかけたり知り合いや、飲み屋で一緒に呑んで意気投合して、という場合もあります。最近意識が高くなりすぎてきて調子乗っている人もいますね(笑)。

–コミケットに参加したことはありますか?
ないんですよ。ちょっと気になってはいるんですけど……。

–写真集というジャンルもあるので、ぜひ参加されてみてはどうですか。
ありがとうございます。面白そうですね。

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夜景おじさんという唯一無二のマニア。気になる人はオケタニ教授氏のXをチェックしてみよう(筆者撮影)

【アルミ弁当箱マニア】マツド・デラックス 氏

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マツド・デラックス氏は昔懐かしい「アルミ弁当箱」を集めているマニア。現在はほとんど生産されていないアルミ弁当箱の魅力について伺った。

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アルミ弁当箱を集めるきっかけとなった『レッドバロン』の弁当箱と一緒に撮影させていただいたマツド・デラックス氏(筆者撮影)

–どうしてアルミ弁当箱を集めだしたのですか?
それは集めている人がいなかったから。この趣味においてドヤ顔ができると思ったからだね(笑)。きっかけは『スーパーロボット レッドバロン』に登場するスーパーカー「アイアンホーク」が大好きで、弁当箱に描かれていたから。

–今アルミ弁当箱を生産しているメーカーってあるのですか?
1社だけ残っています。ほかはアルミサッシ等を作っているメーカーになってしまいました。残っているメーカーは現在はアルミ弁当箱やキャンプ用品を作っているんですよ。

–まだ製造されていることに驚きました。コレクションのなかで自慢の逸品はありますか?
この『サイボーグ009』の弁当箱なんですけど、色が違うんですよ。なぜかというと、『サイボーグ009』はテレビ放送が始まった際はモノクロ放送で、キャラクターの色がわからなかったんです。その状況で弁当箱を作ったら、太もも部分に色を付けて、キャラクターが短パンを履いている状態になってしまったんですね。その後、カラー放送が始まって間違いに気がついて、色が2種類になったみたいです。

–ホントに色が違う! 当時は版権とか緩かったんですかね?
正直©があったりなかったりするので、曖昧な傾向はあったかもしれませんね。

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こちらが問題の『サイボーグ009』のアルミ弁当箱。右が初期の短パン姿で、左が修正された戦闘服姿の島村ジョー(筆者撮影)

【取扱説明書制作マニア】 ぬっきぃ氏(サークル:カドヤキソバ)

●ぬっきぃ氏のXは→こちら

さまざまな商品に必ず付いている取扱説明書を制作者目線で解説してくれるマニアが、ぬっきぃ氏。取扱説明書を制作するうえでの苦労やポイントを聴いてみたぞ。

新刊と一緒に撮影させていただいたぬっきぃ氏(筆者撮影)

–なぜ取扱説明書の制作について本にしようと思ったのですか?
実は業務でやっていまして、取扱説明書を制作するにあたりマニュアルを作ったことがきっかけです。なので本に「社内用」と書いています。

–プロだったんですね。取扱説明書のイラストで気をつけていることは?
さまざまな商品があるので、特定の商品を思い浮かべないようにプレーンなものを描くことですね。あとは、読みやすさが最重要なので、文字組みを変化させないようにしています。

–商品の押しポイントをイラストで描くこともありますよね?
はい。メーカーの担当さんと打ち合わせをして、いろいろと製品の特徴をお話いただいているとなんとなく分かってきます。このへんが特徴だからこんなイラストにしようかな、って感じです。

–お話を聴いて特徴が浮かんでくるのはさすがプロですね。ありがとうございました。

取扱説明書の制作ではわかりやすさを心がけているとぬっきぃ氏。専門的な話を聴かせてもらった(筆者撮影)

【街中のいらすとや使用例マニア】 三浦靖雄氏

●三浦靖雄氏のXは→こちら
●Googleマップ「いらすとやマッピング」は→こちら

誰でも自由に利用できるフリーイラストだっために、爆発的にヒットしたフリーイラスト専門サイトの“いらすとや”。その「イラストの使用例を見つけては収集しているマニア」が三浦靖雄氏だ。1,000カ所以上集めて分かったことを伺ってみた。

–収集にとても時間がかかりそうですが、どのように集めていますか?
家族と出かけたときに見かけるたびに集めていたのですが、それではあまり集まりませんでした。なので、集めに行く日を決めて、1日中特定の場所を歩き回って集めています。

–どこでいらすとやが使われていることが多いですか?
やっぱり公共施設は多いですね。公園とか役所、公民館などはほとんど使わています。注意系だと、文字無しでイラストのみで注意喚起していることもあって、汎用性の高さが分かりますね。

–確かによく見かけますね。大変だったことはありますか?
最初はイラストだけに注目していたのですが、文字のいらすとやがあるんですよ。例えば「東西南北」はいらすとやでそれぞれ文字がイラスト化されています。あと、非常口のいらすとやがあるのですが、自分でもそれに気がついたときは感動しました(笑)。

–それは見極めが大変そうです。
なので、それ以降は文字にも注目しています。あとは、いらすとやのイラストを加工して使っている場合ですね。なぜかおじさんにヒゲが足されていたり、シルエットに切り抜かれて使用されていることもありました。

–シルエットにはまったく気が付かない自信があります。
たぶん、分かるのは自分だけだと思いますよ(笑)

●いらすとや「東西南北」は→こちら
●いらすとや「非常口」は→こちら

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ブース内はさまざまな場所で見つけたいやすとやを展示。写真を解説するポップが貼られていて、とても見やすい展示だった(筆者撮影)

■超痛車天国

「超痛車天国」は痛車オーナーが自慢の痛車を展示するコーナー。説明するまでもないが「痛車」とはアニメやゲームなどのキャラクターで車体をラッピングし、自分の推しを車でアピールすること。車以外にもバイクや自転車など多くの車両を用いた痛車が存在するのだ。

ちなみに車は痛車(いたしゃ)、バイクは痛単車(いたんしゃ)、自転車は痛チャリ(いたちゃり)などと呼ばれている。

それでは、渾身の痛車を紹介しよう。気になる痛車が見つかったら、オーナーのXをフォローしてみてほしい。

さくらみこシルビア

●るみ氏のXは→こちら

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ツインターボコルベットクーペ

●とともふ氏のXは→こちら

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天空橋朋花ホンダNSR250R

●写真屋のおじさん氏のXは→こちら

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博衣こよりスズキGSX-R1000R

●くろくま氏のXは→こちら

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放課後ティータイム&結束バンドホンダインテグラTYPE-R(’96)

●よったれ氏のXは→こちら

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■超絵師展 ~IFの楽曲世界展~

「超絵師展」ではニコニコ静画や動画のサムネイルなどで活躍しているイラストレーターのイラストを展示していた。お題は「IFの楽曲世界展」。

「IFの楽曲世界展」とは、ニコニコ動画に投稿されているさまざまな楽曲に、イラストレーター独自のイラストを描いてみたという内容だ。慣れ親しんだ楽曲がまったく別のイメージになり、多くの来場者がその世界観を楽しんでいた。

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いかがだろうか? 今回はニコニコ超会議2024で行われていた数々の企画の中から、コミケットに関連の深いブースだけを紹介してみた。それでも十分に濃い内容であることがお分かりいただけたと思う。

※文中の価格はすべて税込みです

(文=西澤浩一)
イメージ写真は筆者撮影
筆者プロフィール
西澤浩一
編集・ライター。アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。コミックマーケットには一般・サークルでの参加経験あり。趣味はゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も。一人旅も好きで移動方法は主に鉄道(乗り鉄)である。